誤解をまねく文章



2007年09月17日(Mon)
誤解をまねく文章
つい やってしまいそうな、誤解をまねく文章の例です。

つぎの新聞記事をご覧ください。
安倍晋三首相に辞意を表明した。「しょうがない」という言葉が、さも原爆投下を是認したかのように報道された。これまでも原爆投下について「あってはならないことだ」と繰り返し言っていたが、不用意な発言だったと反省している。全国の被爆者、後遺症に苦しんでいる人、いろんな方々の心情を思うときに大変申し訳なかった。参院選で足を引っ張るようなことがあっては大変申し訳ないという気持ちになった。この際はきっぱりと、わたしの不用意な発言が首相にマイナスにならないように、もう既にマイナスになったかもしれないが、わたし自身が身を引く決意をした。
記憶から消えさっていない有名な失言のあとで辞任を表明したときの発言です。

この文章から
これまでも原爆投下について「あってはならないことだ」と繰り返し言っていたが、不用意な発言だったと反省している。
という文を取りだしますと、文章のおかしさが浮きあがってきます。"原爆投下は あってはならないことだ"と言ってきたことが不用意な発言であったと反省しているものとして受けとめられます。

原爆投下のことをしようがないと言ってしまったがゆえに謝罪や釈明、そして辞任にいたったという、ことの いきさつを知っていますので、「不用意な発言だった」の対象が「しょうがない」であることも知っています。そのため、この文章もスッと読み流してしまいますが、事情をまったく知らないひとが記事を読んだとき、「不用意な発言」が指し示すものがどれなのか、判断に苦しむのではないでしょうか。原爆投下をあってはならないことと言うような不用意なことをしてしまったとアメリカ人なら考えるかもしれません。

逆接の接続助詞「が」で文をつないでいることが よろしくないのですね。文を分けましょう。

《これまでも原爆投下について「あってはならないことだ」と繰り返し言ってきた。ところが、「しょうがない」という言葉が、さも原爆投下を是認したかのように報道された。不用意な発言だったと反省している。》

文の順序をいれかえて、「しようがない」と「不用意な発言」を近づけておくほうがいいでしょう。

「が」をつかうのであっても、逆接になるように、文の順序をいれかえておくほうが分かりやすいですね。

《これまでも原爆投下について「あってはならないことだ」と繰り返し言ってきたが、「しょうがない」という言葉が、さも原爆投下を是認したかのように報道された。不用意な発言だったと反省している。》

これでしたら、誤解のしようがありません。

発言を要約するときは、意が通じるように前後をいれかえたりして、気をつける必要がありますね。対談やインタービューを文章におこすときには当然のようにやっていることです。


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