お題目



2007年09月13日(Thu)
お題目
人間国宝・桂米朝師が復活させた上方落語に「地獄八景亡者戯{じごく ばっけい もうじゃ の たわむれ}」という演目があります。余談ですが、きちんと文字数が奇数になっています。「仮名手本忠臣蔵」「世話情浮名横櫛{よ は なさけ うきな の よこ'ぐし}」「女殺油地獄{おんな ごろし あぶら の じごく}」、歌舞伎など古典芸能の演目の題名は奇数ときまっています。歌舞伎の演目のような読みかたをさせる題名をつけたものに偶数文字数のものがたまにみられます。験かつぎの習慣をご存じではないのですね。

「地獄八景亡者戯」には、念仏を買うという、くすぐりの場面があります。いい念仏を買って持って行ったら、閻魔大王の裁きを受けるときに、念仏の功徳{くどく}で罪が軽くなるというので、念仏町で念仏を買うのです。宗旨によって店が別になっており、浄土宗や一向宗は南無阿弥陀仏屋で、日蓮宗は南無妙法蓮華経屋で、真言宗はオンアボキャーベーロシャノーマカボダラマニアンドバジンバラハラバリタ屋で、キリスト教はアーメン商会で買うということになってるのです。念仏でないものも念仏町で買うというのも奇妙なものですが、それらをまとめた言いかたがありませんので、いたしかたのないところでしょう。

"むかし むかし あるところで"で始まる昔ばなしを題材としたラジオ番組で「たのきゅう と 大蛇」という話が放送されていました。ラジオですので音だけですから文字はわかりませんが、"たのきゅう"というのは落語にある田能久だろうと思います。

その番組の中に
》お題目をとなえていました。「なむあみだ。なむあみだ」《
というところがありました。

台本を書いたひと、朗読をしていたひと、録音技術者にディレクターにプロデューサーと、関係者は多いでしょうに、どなたもご存じでは なかったのですかね。

「題目」には「表題・外題、主旨」といった意味があり、"お"をつけた「お題目」は、多くのかたがご存じのように、「南無妙法蓮華経」です。法華宗のことを題目宗ともいうそうです。「なむあみだ」つまり「南無阿弥陀仏」は「念仏」「お念仏」です。

こういうことも分からなくなっている世代が番組を通じて世の中を動かしているのでしょうかねえ。日本語は変わってゆくでしょうねえ。


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