渓谷か峡谷か



2007年09月12日(Wed)
渓谷か峡谷か
日本全国あちらこちらに"渓谷"があります。"谿谷"とも書かれます。"たに{}"と言っていいところ、漢語をつかえば体裁がいいということでしょう、漢語で書かれます。

兵庫県丹波市で発見された大型草食竜、愛称を丹波竜といいます。日本ではじめての全身骨格発見が期待されているということです。その可能性が高いのだそうです。丹波竜が発見されたのは篠山川ぞいの丹波市山南町上滝の岩場です。

現地では「川代渓谷」と呼びならわしており、土木事務所による表示や印刷物などにも「川代渓谷」とされているのです。ところが、学術的観点から、市が「川代峡谷」と呼びはじめ、混乱しているということです。

"渓谷"と"峡谷"を辞書で確認してみましょう。

・広辞苑第1版
 【渓谷・谿谷】谷。谷間。
 【峡谷】幅の割に著しく深く細長い谷。

・新明解第4版
 【渓谷】「たに(ま)」の意の漢語的表現。
  【谷間】谷(のようになっている所)。「都会の谷間」「好景気の谷間」
  【谷】(1) 両側が台地や山にはさまれて低く くぼんだ地形の、細長い一続きの土地。
     (2) 波の低い所や、かわら・トタン板などの、へこんだ所。
  【峡谷】幅が狭くて、両岸が険しいがけになっている谷。V字谷。

漢字源によると、"峡"1文字で「山あいのせまい谷間"という意味があるということです。

"峡谷"とは、幅がせまくて、深い深い谷のことをいうようです。学術的には、河川が山地を浸食してできた、険しいV字谷──を称する語だということですが、峡谷とはされない谷でも河川に浸食されてかたちづくられたものでしょうから、せまくて せまくて せまくて 深い深い深い谷のことだと判断できます。地学的な判断がなされるものと思われます。

一般の人間にとっては、どちらも"たに"にちがいはないわけで、どちらでも いいではないかと思うのですが、官庁としては そうもいかないようです。

"みる"を、見る、診る、視る、観る、看る、覧る、などと書きわけているように、ちょっとした違いをとりいれて漢字をつかいわけしていることが、こういう馬鹿らしい騒動の原因なのでしょう。

学術的側面での呼称はともかくとして、「川代の谷」でいいではないですか。


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